配管図は「配管工事の道しるべ」ともいえる重要なツールで、配管工は図面を見て、配管をつなぎ合わせ、施工を進めていきます。
実際に配管を組んでみた場合、図面通りにいかないこともありますが、それでも配管図がなければ、別の手段を考えることもできません。
ここでは、配管工事に欠かせない配管図について、詳しく解説していきます。
目次
配管図は「配管系統図」とも呼ばれるもので、配管が必要となる建築設備や機器において、配管の構成要素や順序、設備や機器との位置関係が表記された図面です。
一般的な図面は、真上から見た状態を、そのまま図に起こすため平面ですが、配管図は平面図に仮の軸を加えて、立体的に配管ルートを把握できるのが特徴です。
そのため、配管図は平面図では表記できない情報を伝える、という役割も持っています。
配管図では、単に配管の位置だけを表記するのではなく、計器やバルブ・弁など、配管材料についても表記する必要があります。
ただし、こういった細かい部品を図面に細かく書くのは非効率です。
また、配管図にはたくさんの配管や設備・機器などが図示されているため、部品まで文字で書いてしまうと、読みづらくなったり、間違った解釈をしてしまったりする可能性もあります。
このようなリスクを防ぐため、配管図に使われる計器やバルブ、フランジ、継手などの配管部品は記号化されています。
配管や配管部品記号、簡略図示方法はJIS規格で定型が決まっているものもありますが、規定されているもの以外にも、たくさんの配管や部品があります。
そのため企業や設計士などが、それぞれ独自に記号を作成して配管図を完成させています。
配管図には「アイソメ図」「アクソメ図」という、2つの種類があります。
アイソメ図は、アイソメトリック図の略語で、奥行きや高さなど、平面図では表現が難しい三次元の数値を入力して作成します。
アクソメ図は、アクソノメトリックの略語で、こちらは平面図に書かれる配管ルートをあらかじめ傾けておき、そこに高さや寸法を書き加えて作成します。
どちらも立体的に作成するという点は同じですが、アイソメ図の方が立体的に配管ルートを表示できるので、完成後の配管を視覚的に分かりやすくできるのが、アクソメ図との大きな違いです。
建築現場では、最初に配管ルートを記した平面図をもらいます。
この図面と現場を見比べてルートを確認しますが、配管ルートは細かく曲がっていたり方向を変えたりするので、平面図ではイメージしづらいところも出てきます。
そこで、立体的にイメージできる配管図を作成するのですが、ここでは配管図を作成する人や作成するときの注意点を紹介します。
配管図を作成するのは、配管工事を実際に行う人、もしくは寸法を測る人です。
こういったことは、現場監督がするのでは、と思う方もいるかもしれませんが、現場の人間が作成するには理由があります。
配管に限ったことではありませんが、いくら計算をして図面を作成しても、実際に工事に入った場合は計算通りにいかないことがあります。
そのため、配管図は配管工など現場を知る人間が作成するのが一般的です。
ただし、配管工であれば誰でも配管図を書けるというわけではありません。
配管図は、ただ立体的に作成すれば良いというものではなく、必要な部品を全て記号で記載しなければいけないので、配管工としての知識と経験がある人しか作成できないのです。
配管図を作成するときには、3つの注意点があります。
配管工事の前には、図面に従ってパーツを加工します。
書かれている寸法が、どのパーツか分かりづらいと、サイズを間違ってしまったりするので、パーツの寸法は明確にしなければなりません。
ルートが分かりづらいと配管図の意味がないので、配管の向きや貫通部などを明確にすることも重要です。
また、いくら記号や寸法で記載するのが基本だとしても、それだけで情報を伝えきれない場合は、しっかり補足説明を記載する必要があります。
説明がないせいで、分かりづらかったり間違えたりしてしまうと、工事に支障をきたしてしまうので要注意です。
配管図は、配管を敷設するだけではなく、配管を構成する要素や設備との位置関係などを示す役割も持っている、重要な図面です。
しかし、配管に使う管材やルートを細かく記載するため、部品や機器を書き込めないので、配管業独自の記号が使われています。
配管工としての知識や経験が少ないと、図面を作成することができません。
配管工事を適切かつ正確に行うには、配管図を作成できる経験年数や知識も必要になります。
当社には配管図を正確に作成するだけでなく、ご要望に合わせて柔軟に対応できる専任の職人がおりますので、配管工の仕事はぜひ当社にご依頼ください。