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配管図面とは?作業効率をアップするための使い方2021.12.12

プラント建設の現場では、さまざまな工事が行われますが、その中の1つに配管工事があります。
配管工事は、配管図面に沿って設置を進めていきます。
配管図面というのは非常に複雑で、専門的な知識がないと、まったく意味が理解できませんが、これをもとに安全かつ正確な配管設置を行うのが配管工の仕事です。

ここでは、配管図面について、また配管作業の効率をアップするための図面の使い方を紹介します。配管図面とは?作業効率をアップするための使い方

目次

配管図面とは?

配管図面とは、工場や製鉄所などで使用する配管の順序や構成要素を示すために、作成された図面です。
配管作業に使う図面は、配管系統図やアイソメ図などさまざまな種類がありますが、配管図面は建物を真上、もしくは真下から見た平面図になります。

平面図なので、立体的な構造は把握しにくいですが、配管ルートや間仕切りを全体的に掴みやすいです。
床転がし配管や天井配管などは、熟練の職人であれば配管図面だけで組み立てることも可能です。

配管図面だけで、設置するのが難しい場合や立体的に構造を理解したい場合は、他の図面を作成することもあります。
しかし、配管図面は国土交通省の「公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)」(※)の規定に則って作成されているので、寸法や配管の向きなどを勝手に変えることはできません。

※参考資料:国土交通省「公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)」

配管の作業効率をアップする配管図面の使い方

配管図面には、使用する配管の寸法や配管の向き、使用する部品の記号などさまざまな情報が記載されています。
そのため、図面を理解するには専門知識や経験が必要になりますが、もし図面を読めない作業員がいても、作業効率をアップさせる方法があります。

ここでは、作業効率をアップさせる配管図面の使い方を紹介するので、作業時の参考にしてみてください。

スラブへ墨だしをする

スラブへ墨だしをするというのは、簡単にいうと、配管図面を現場に写していくということです。

配管図面に書かれているものを、スラブに地墨で出すことで、いちいち図面を見なくても作業を進めることができます。
墨をスラブに出してしまっても、仕上げる際に隠蔽できるので問題ありません。

墨だしをする際には、レーザーや伸縮ポールが必須です。
天井に墨だしをする場合、レーザーがないと正確な位置にポイントを付けられないので、必ず用意しましょう。

また、伸縮ポールは天井配管の吊りバンド用アンカー位置を写すときに使うので、こちらも用意しておいてください。

ただし、コンクリート打ちっぱなしで仕上げる場合は、墨だしが禁止になっている可能性があるので事前に確認しましょう。

墨だし作業の前にやっておくこと

プラント建設現場はホコリが多く、また資材の種類もいろいろあるので、墨だしをしても見づらいことがあります。
そのため、墨を見やすくするための事前作業が必要になります。

まずは墨だしの場所のホコリを掃いたり、拭いたりして取り除きましょう。
次に、どんな資材にもしっかり墨だしができるペイントマーカーを用意します。
可能であれば、墨だし用マーカーを購入することをおすすめします。

また、墨だしの後には、墨が消えないようにクリアスプレーを拭きかけましょう。
これだけやっておけば、作業中にホコリをかぶっても墨がしっかり残ります。

配管図面の見方を統一する

数人で作業をする際、配管図面の見方を統一しておくことも重要です。
建築図面では、見上げ図や伏せ図という名称によって見方が決まっていますが、ここでいう見方は図面を見るときの考え方で「見上げ」と「見下げ」で統一するということです。

「見上げ」は配管図面を見たときに天井を見上げた景色が描いてある、「見下げ」は下の階の天井配管が描いてあるという見方を統一します。

このように見方に関して共通の認識を持っておくと、「4階の配管図面をください」と言った場合、もらった図面に5階部分の天井配管があれば「見上げ」となります。
同様に、3階の天井配管が描かれていれば「見下げ」と認識できるので混乱しません。

作業員がそれぞれに違う見方を持っていると、場合によっては作業工程でミスをしてしまうことがあります。
作業効率アップのためには、配管図面の見方を統一することもポイントになります。

配管工事は配管図面の精度が重要!

配管には、工場で使う気体や化学物質、汚水などを流すという大事な役割を持っているので、寸分のミスも許されません。
当然ですが、図面に記載ミスがあったり必要な情報が載っていなかったりすると、仕上がりがまったく違うものになってしまいます。

こういったミスが起こらないようにするためには、配管工事のもととなる配管図面が、とても重要になります。

配管図面の作成は、専門知識があるだけでなく、豊富な作成経験も必要です。
当社はプラント配管&タンクの全てを長年担っているので、配管に関するご要望は、ぜひご相談ください。