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ラッキングとは?効果や目的・施工手順をわかりやすく解説2022.03.02

「配管のラッキング」と言われても、配管板金工事初心者の方や専門知識がない方は、よく分からない言葉だと思います。
この記事では、ラッキングとは何か、どんな目的で行われるのか、その効果や目的について分かりやすく解説します。
さらに、ラッキングの菊絞りのやり方や施工手順についてもまとめてご紹介します。

ラッキングとは?効果や目的・施工手順をわかりやすく解説

目次

ラッキングとは

「ラッキングとはそもそも何?」という方のために、ラッキングの意味を説明します。
ラッキングとは、配管板金工事のことで、配管にアルミなどのラッキング剤を巻き付けて保護することです。
家庭内では水道管や給湯管などの各種配管、工場などでは空調用ダクトやタンク、ボイラーなどに施工されます。
ラッキングは美観や耐久性を高めたり、配管そのものの効果を高めたりする目的で行われます。

ラッキングの効果

ラッキングを施すことで、2つの効果があります。
1つ目は、配管や配管に巻き付けてある断熱材を保護し、劣化しにくくする効果です。
2つ目は、保温や冷却、防音効果など、配管自体の性能を保ったり、高めたりする効果です。
また上記の効果によって、コストダウンや省エネにも役立ちます。
ラッキング剤で覆うことで、むき出しの配管の見た目を良くすることもできます。

ラッキングの注意点

ラッキングに使われる材料は、主に金属です。
そのため、屋外などの暴風雨にさらされる場所では、定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。
長期的に使用していると、金属が錆び、そこから腐食が起こります。
ラッキング部分が腐食しているだけであれば、その部分を交換するだけで解決しますが、長期的に放置してメンテナンスを怠ると、配管内部まで錆びが侵食してしまう可能性もあります。
そうなると大がかりな工事をしなければならないため、想定外のコストが発生することに。
そのため、定期的な点検だけではなく、メンテナンスも行いましょう。

ラッキングの施工手順

ここからは、実際のラッキングの施工手順について解説します。
配管の保冷・保温部へのラッキングの方法を見ていきましょう。

けがきを入れる

「けがき」とは、対象物の表面に、加工基準になる線・穴の位置などを描く作業のことです。
道具は、コンパスや金切バサミを使います。
ラッキングを取り付けるパイプの直径を計測し、けがきを行います。
その際に、少し大きめ(約2mmくらい)にすると作業しやすくなります。

切り取り

金切バサミを使い、コンパスで印をつけた部分を切り取ります。

パイプに取り付ける

パイプに、切り取ったキャップ部分をかぶせます。
切り欠いた部分をひねって、パイプに設置します。
設置部分が狭くて、ひねってかぶせることができない場合は、切り込みを入れた反対側の部分も切り込みを入れて開いて、かぶせるようにして設置します。

ラッキングカバーで覆う

ラッキングするパイプの長さに合わせて、胴体となるカバー部分を切って長さを合わせます。
長さを合わせたら、カバー部分をパイプにかぶせて固定します。

キャップをかぶせる

固定したカバー部分に、キャップを差し込んで完成です。

ラッキングの菊絞りの手順

ラッキングでは、菊絞り、偏心菊絞りがあります。
それぞれの手順について、詳しく見ていきましょう。

ラッキング菊絞りのやり方

まずはパイプが真ん中にくるようにして、ラッキングのカバー部分を合わせ、絞りたい長さを計測します。
ラッキングカバーの端に、絞りたい長さに合わせて印をつけます。
ラッキングカバーの余分な部分は不要なため、金切バサミで切り落とします。
次にけがきをした部分に合わせて、菊切りバサミで絞りを入れていきます。
菊切りバサミがない場合は、ラジオペンチでも代用できます。
絞り部分が同一になるように、同じ角度で曲げていきます。
ラッキングカバー部分のつなぎ目をしっかりと合わせて、形を整えたら完成です。

ラッキング偏心菊絞りのやり方

パイプの位置に合わせてラッキングカバーをかぶせて、パイプから4カ所の長さを計ります。
例えば10mm、15mm、20mm、25mmだった場合は、一番広い25mmに合わせてけがきをします。
金切バサミ、コンパスを使用して、ラッキングカバー部分に印をつけます。
カバー部分を丸めて、先に計測した4カ所の長さを切ります。
続いてカバーを広げて、印をつけた部分に合わせて切ります。
あとは、ラジオペンチなどのハサミで、ラッキングを絞ります。
絞った部分を合わせて、ラッキングの形を整えたら完成です。

まとめ

私たちの日常生活からビジネスシーンまで、目立たないところで活躍しているのがラッキングです。配管などをラッキングすることで、配管の効果を高めたり、劣化を防いだりすることができます。
むき出しのパイプよりも、ラッキングで綺麗に覆われている方が見た目もよくなる点も利点のひとつ。
ラッキングが必要な部分を見極め、省エネやコストダウンのために設置してみてはいかがでしょうか。
またラッキングを施した部分は耐久性が高まりますが、放置するのではなく、定期的に点検・メンテナンスを行うことも重要です。